f1のミカタ

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世代交代を見たF1 スペインGP

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2016シーズン第5戦スペインGP。
 
もう5戦目か。
いつものことだけど、シーズンが始まってしまうと、あっという間に時が過ぎるのがF1の特徴。だいたいいつもヨーロッパラウンドに入る頃にこう感じてしまうのはなんでだろうか。
 
さて、今回のスペインGPは、なんと言っても10代ドライバー歓喜の初優勝に尽きる。新たなスターの誕生だ。
 
予選Q3の一度目は電気が走ったような鮮烈な走り。
ルイス・ハミルトンが失敗、ニコ・ロズベルグも、メルセデスにしてはそれ程でもというとき、間に割って入ったタイムに正直驚いた。
 
まさに「来たっ」という感じ。
 
そして、決勝。ライコネンが真後ろについてからのおよそ20週を、ミスなく、隙も見せず、見事に走り切った。ライコネンの猛攻を抑えきった印象はあまり感じられなかったが、百戦錬磨のチャンピオン相手に、しっかりと走ったことは間違い無いだろう。
 
今シーズン初めて、最後までドキドキしてたレースでもあった。
 

最年長ドライバーの限界

そんな若者の大活躍の一方で、最年長ドライバーであるキミ・ライコネンに限界を感じざるを得なかった。
 
フェルスタッペンの真後ろにつくこと20週ほど。
コンマ5秒以内に近づくこともしばしば。
 
でも抜けなかった。
抜くどころか、まともに仕掛けられなかった。
 
 
今回はスタートの混乱や、前の二人の戦略ミスなどもあり、ライコネン2013年以来の優勝がかなり現実的になったレースだった。優勝争いじゃなくても、レース終盤に前を走るクルマに追いつく展開がよくあるライコネン
 
今まではその機会を生かせないままフィニッシュラインを越えていたことがほとんどだった。それは残り周回数が5周とか、10周とか、絶対的なチャンスが少ない場合が多く、チャレンジできなくても仕方ないと思うものも多かった。
 
でも今回は違う。
明らかに状況は整っていたのに、しかけなかった。
 
もちろんドライバーにしか分からない「理由」がたくさんあるんだろう。
そういうことがあるのは理解している。
でも、それでチャンピオンを獲れると思っているのだろうか?
 
レーサーは、とにかく相手の前に出たい人たちだ。どんな状況であれ自分が一番速いと信じていて、そこに機会が訪れた途端に突っ込んでいく人種なのだ。
中国GPでダニール・クビアトが1コーナーでセバスチャン・ベッテルのインに飛び込んだ件や、今回のメルセデスの同士討ちなどは分かりやすい例だ。
ダニエル・リカルドもレース終盤ベッテルにしかけた。
失敗には終わったけど、そこに賭けた。前を狙うレーサーとしての行動だ。
 
レーサーはそうでないと、レースに勝てないし、ましてやチャンピオンなど夢のまた夢だ。
 

チャレンジャーになりきれていない

フェラーリドライバーは、特に今年、とても大きなプレッシャーの下でレースをしている のだろう。マルキオンネがまた見に来ていたことにもそれが見てとれる。メルセデスが0点確定で、大幅に差を詰める大チャンスだからといって、抑えのレース をしてるようじゃダメだ。特に今回は明らかにトップを奪える位置にいたというのに。チャレンジがまったく見られなかったことに、ライコネンの限界を感じ た。
 
メルセデスの両ドライバーにある争いやクビアトショックに見られるなりふり構わない姿勢が、今のフェラーリにはない。だから、フェラーリは来季も同じラインナップでいくかもしれないけど、化ける気がしない。
 
ドライバーやチームは、チャンピオンシップを戦うとき、シーズン全体を見てレースを進めていく。でもそれはチャンピオン獲得が現実的な場合だけだ。
メルセデス以外はまだまだチャレンジャーにもなりきれていないのに、チャンピオンシップを見据えるのは、驕りじゃないか?
 
「流れ」が悪いのかもしれない。
でもその流れを断ち切るのは、自分たちの行動だけなのだと思う。
 
特にこれまでの5レース、フェラーリが振るわない何かがはっきり見えた、そんなGPだった。